リフォーム基礎情報
世代別リフォーム <60代>
世代が違えば、ライフスタイルも当然異なってきます。
また、同じ夫婦・家族でも年齢を経ることで暮らしや価値観に変化が生じるもの。
それぞれの世代がどんな住まいを求め、どんなリフォーム&リノベーションにたどりついたのか。
同じ世代や境遇にある読者の方なら共感できることも多いはず。
参考にしていただけること満載の今特集、じっくり読んで見て、あなたのリフォームにお役立てください。
期待される多世代同居のけん引役
いま、リフォームにいちばん意欲的なのが60代です。
戸建てでも、マンションでも、リフォームの施主となる割合は、60代が38・2%と、50代の27・7%に大きく差をつけて、年代別でトップです(一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会の平成24年の調査による)。戸建てとマンションを合わせた全体では、3年前から60代のウェイトがもっとも高くなっています。
工事内容は、身体機能の衰えに備えたバリアフリーだけでなく、自分らしい暮らしをかたちにする積極的な空間づくりも多いようです。
施主の声から
「こんなに暖かくなるなら、もっと早くリフォームしておけば…」
「やってみて初めてわかった。毎日の掃除は本当にたいへん」
「在宅介護になっても安心して快適に生活できる家に」
寒さへの不満は、リフォームの理由のいつも上位。60代にもなると、それは健康へも大いに影響してくるので、早めの対処が必要です。よく使う場所を暖かくする改善はもちろん、屋内で極端な温度差が生じないような配慮も欠かせません。生活動線の再検討から始めて、リフォーム計画を立てましょう。
日々の掃除をはじめ、手入れの楽な家にすることも60代のリフォームでは大きなテーマです。将来の身体の機能の衰えを計算に入れて、ホコリのたまりにくい空間や汚れの落としやすい素材などもリフォーム会社から提案してもらいましょう。メンテナンスのしやすさも快適さの条件です。
「いずれ介護を受ける身になっても、できるかぎりは自宅で生活したい」という思いは、多くの人が持つのではないでしょうか。介護への備えは、60代のリフォームの必須事項といえましょう。介護者・介助者になることが多い同居家族への負担を、リフォームによって、あらかじめ軽減することができます。
◆維持管理のしやすさ
子供が独立し、自分も定年を迎え、これからの時間をどう過ごすか――。60代のリフォームは、第二の人生のライフスタイルと密接に関わってきます。
一緒に暮らす安心感や経済的なメリットを求めて、子供との同居を考える人もいれば、利便性を優先して、都心部のマンションへの住み替えを考える人もいます。
いずれにしても、長い老後のために住まいで重視するのは、ひとつには維持管理のしやすさでしょう。家屋敷の手入れは、意外と体力を使うもの。この年代になると、実感します。
戸建てでは、外壁材や屋根材を耐久性の高いものにしたり、ロードヒーティングや融雪槽を取り入れて除雪の負担を減らす、外周りのリフォームがあります。また、便利さと安全を考慮して、火を使わないオール電化など、設備面の一新も外せません。
維持管理のしやすさでは、マンションに軍配が上がりそうですが、維持管理費や修繕積立金といった費用、そして修繕箇所や工事時期、頻度などを総合的に判断して選ぶべきでしょう。「ウチには必要ないから払わない」というわけにはいかないものですから。
◆志向の違いを意識して
シニア世代が住まいに求めるものとして、もうひとつニーズが高いのは、趣味の部屋。自分のための専用空間です。
夫婦2人の時間が長くなるといっても「1人の時間を大切にしたい」「1人の空間がほしい」というのが本音でもあります。とくに女性に、この傾向が強いようです。くわえて、女性のほうが男性よりも、友人との交流や社会との接点を維持したいと強く望んでいるようです。
こうした男女の志向の違いは、仕事をしている男性には分からないもので、定年を迎え、家庭に腰を据えたときに急に気づくものではないでしょうか。あるいは気になり出すものではないでしょうか。
リフォームにあたっては、このような志向の違いを互いによく理解しておくことが大切ですし、二世帯同居であれば、子世帯にもよく知ってもらうことが、満足できる住まいづくりの前提条件になります。
◆2・5世帯同居、増える
住宅メーカーの旭化成ホームズ(東京)によると、60代の親と単身の子どもの家族は、30年前のほぼ3倍、300万世帯を超えるそうです。同社では、そうした親と単身の子の一家に、結婚した子ども家族が加わる世帯を「2・5世帯同居」と名づけました。同居形態は、親夫婦+息子一家+単身の娘というパターンが中心だといいます。
こうした多世代同居が、これから新しい暮らし方と、それを包む新しい住まいのかたちを生み出していくことになるでしょう。もちろん、同居に際してはリフォームをするケースが多いはずです。60代のみなさんには、続く世代のリフォームのお手本をいろいろと示してほしいものです。
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