2世帯暮らし
親の本音、子の気持ち 二世帯同居の成功の秘訣
若夫婦どちらの親と同居するのか。同居するのは両親か、片親か。若夫婦に子どもは何人いるか。リフォームするのは夫婦宅かそれとも親の家か――
ちょっと数えてみたただけでも二世帯同居のリフォーム計画を左右する要素は、どれも軽視できないものばかり。
新しい住まいで快適に、そして仲良く暮らしていくために、リフォーム計画の際に考慮すべきいくつかのポイントを子の視点と親の視点両方からとりあげてみました。
食事と生活リズム
水回り、共有か分離か
●子の気持ち――娘
同居するのは父母と娘のわたしなので〈我が家の味〉は親世帯も子世帯も同じようなもの、だからキッチンも一緒でいいと思っていました。けれども、いざ二世帯住宅のプランをつくる段になると、ちょっと考え直しましたね。
やっぱり、若い人と年配者では、食事の傾向がかなり違うんです。とくに子どもがいると、食卓に肉料理やカレー、ピザなどが並ぶことが多いし、育ち盛りだから量もたっぷり。たびたび親をつきあわせるわけにはいかないですよね。だから世帯ごとに別々のキッチンを設けることにしました。
でも、魚料理や鍋物、そば、うどんなどは母と一緒につくって、二世帯が一緒に食卓を囲むことにしています。煮物も母のがおいしいし(笑)。
●親の気持ち――母
わたしたちの場合、親世帯と子世帯の生活リズムにかなり差がありましてね。晩ご飯の時間帯がずれることが多いんです。だったら交代で使うのに都合がいいから、キッチンは一階にひとつでいいだろうと思ってました。
でも親世帯の食事のしたくや後片付けが済んだかと思うとすぐに子世帯のが始まることになるでしょ。きっと落ち着かないだろうと思って、キッチンは、すっきりと別々にしたんです。
あとは、お風呂は共有ですが、トイレは別々。まだ夫婦ともに健康ですけれども、将来のことを考えてバリアフリーの広いトイレにしました。
共有するか分離するか、それぞれの世帯の生活リズムを考えて検討しました。キッチンもトイレも共有のほうが工事費は抑えられたのでしょうが、毎日のことですから、親世帯と子世帯がどちらも我慢せず、気兼ねなく自由に使えるようなリフォームにして、よかったと思います。
家事分担とプライバシー
いい関係をつくるには
●子の気持ち――嫁
かなり分かって慣れてきたつもりですけれど、「掃除」の感覚、やっぱり義母とは違うんですよね。わたしは、まとめて一気に片付けるタイプなので、こまめに掃除する義母がリビングのホコリをつまんで捨てるのを見たりすると、ちょっと申し訳ない感じになったりして。
うちはリビングやキッチンを共有した二世帯リフォームにしましたが、共有スペースの掃除や管理は、どちらがどうするか、はっきり決めないままにしておいたんです。気がついた人がやればいいと。わたしはパート勤務をしているので、結局、家に長くいる義母の役目になることが多くて。
その分、お風呂掃除やレンジの手入れで挽回しようと思っているんですよ。これも、いままでのところ旦那にやってもらうことが多いのですが(苦笑)。
●親の気持ち――姑
ええ、もう掃除機をかけ出したら、みんな一緒です。居間から廊下、玄関、階段と、全部やってしまいます。嫁も最初は気がとがめるような様子でしたが、きれい好きは、わたしの性分でね。それに掃除はけっこうな運動になって、いいんですよ。わざわざウォーキングなんかする必要がないくらい。
もう小学校高学年ですから、孫にも手伝ってもらっています。いろいろ指示して掃除のしかたを教えるのが、自然としつけにもなってるんでしょうね。
家に汚れたところ、散らかったところがあると気になってしょうがないのですが、息子夫婦の部屋と子ども部屋には手をつけません。そこはプライバシーの尊重です。