リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
10年ほど前、引越しを機に二段ベッドをセミオーダーしました。シンプルなデザインの組み立て式で、ヒノキの無垢材でできています。
ベッドの下は市販のベッドより少し高さを高くしてリネン類を収納できるスペースを設けました。塗装はワックス仕上げでマットレスを乗せるすのこは無塗装です。ヒノキの二段ベッドのおかげで子供部屋はいつも木の香りがしていました。
ヒノキの香りにはリラックス効果やリフレッシュ効果など森林浴のような効果があるそうです。防虫・抗菌作用のある成分も含まれていて、ダニの繁殖を抑制する効果もあるそうです。
ヒノキは杉とよく似ていますが杉よりも重くて硬くて強度があります。ヒノキは製材して200年は強度が増して1000年かけて徐々に弱くなるといわれています。世界最古の木造建築、法隆寺にもヒノキが使われています。
ヒノキは湿気に強く、腐りにくく、白アリにも強いので家の土台に使われます。きれいな白木で艶もあるので壁や床など見えるところにも使われます。温泉旅館に行くとヒノキ風呂がありますが、水に強いヒノキは浴槽にも適しています。抗菌効果があり、反りやねじれが少ないのでまな板に使われます。強度がありクッション性があることから卓球のラケットにも使われています。
ヒノキといえば木曽地域から裏木曽地域(飛騨南部、東濃地域)に産する木曽ヒ
ノキが有名です。日本には各地にヒノキの産地があり、吉野ヒノキ、紀州ヒノキ、東濃ヒノキ、尾鷲ヒノキ、天竜ヒノキ、土佐ヒノキなどがあります。
ヒノキと呼ぶ木は海外にもあり、日本のヒノキの代用として寺社仏閣にも使われています。タイヒは、台湾桧とも呼ばれ、ヒノキチオールが多いのが特徴です。ラオスヒノキは主にラオスから産出されるヒノキ科の木です。ベイヒは、北米で産出されるヒノキ科の木で香りは強く感じられます。オーストラリアヒノキはサイプレス、豪州ヒノキとも呼ばれているオーストラリア産のヒノキ科の木です。シロアリに強いと言われています。
ヒノキの二段ベッドを使っている子供たちはすっかり大きくなり、木の色は飴色に変わり、赤い節はこげ茶色になりました。木の香りはほとんどしなくなりましたが、長雨が続いて湿度が高い日は今でもほのかにヒノキの香りがします。木は年月と共に色や香りが変わってきますが、削り直すと色も香りも新品のころのように蘇るといいます。いつの日かヒノキのベッドを削り直して我が家にベッドが来た時の木の香りを再び楽しみたいと思っています。
参考文献
木材居住環境ハンドブック 岡野健他編 朝倉書店
木づかいドットコム http://www.kidukai.com
協力会社
(株)ヒノキ・ワークス http://www.hinoki-furniture.com
感想・お問合せ先
mail@kigurashi.info
作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
犬との暮らしを綴ったほのぼのコラム
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