リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
築25年の我が家のキッチンは、家の北側にあります。北と東に窓があり、日差しの入る明るいキッチンです。風通しがよく、木の床もキッチンもひどい痛みはなく、まだ使えそうでした。それでも設備機器は寿命が訪れました。ガスコンロは故障し、レンジフードは時折ガラガラと音を立て、ガスオーブンはずいぶん前から調子が悪いままでした。そこで設備機器の交換を機に、キッチンをリフォームすることにしました。もともと、広さや使い勝手は申し分ない機能的なシステムキッチンです。基本的なレイアウトは変更せず、ウォールキャビネットや扉は無垢材で作ってもらうことにしました。
木は、水に弱いというイメージがあります。水がはねてシミができたり、腐ったりするのではないか、そんな心配もありました。一番、水がかかりやすいワークトップは、ステンレスにしました。
扉や引き出しは、木部に触れずに開閉できるように、真鍮の取っ手をつけました。
シンク下とウォールキャビネットの扉は、湿気に強い栗を使いました。栗は硬くて丈夫ですが、重い木なので、扉の枠を栗で作り、中にはめ込む鏡板は軽い杉を使っています。丈夫な栗と軽い杉の組み合わせで、軽くて開閉しやすい扉になりました 。
食器洗い乾燥機のドアパネルは、桐と栓の木を使いました。木は厚みが薄いと反りやすく、厚いと反りにくくなります。パネル板は、扉よりも薄い18ミリ。反りや狂いが少ない桐を鏡板にしました。桐は狂いにくい半面、柔らかい木です。ドアの取っ手のまわりやパネルの枠は、扉の開閉で爪が当たっても、傷がつきにくい、栓の木にしました。
4段引き出しの前板は、全部違う木を使いました。栗、胡桃、欅、杉。どれも日本を代表する木です。色も木目も違うのに、まとまりがあり、まるで日本のどこかの雑木林のような、いい雰囲気になりました。
リフォーム工事が進むに連れ、完成直後の新しいキッチンよりも、10年後、少し古びて、木の色艶が深まった頃が楽しみに思えてきました。
見える所に無垢材を使うことで、インテリアとしても見違えるほど、よくなりました。見た目のカッコ良さだけではなく、機能性も向上しました。特に、IHクッキングヒーターの下の、踏み台兼用ワゴンは、収納ができて、座ることができ、踏み台にもなる1台3役の欲張りなワゴンです。普段使いの鍋を置くスペースが欲しかったので、鍋の大きさを基準にデザインしています。頻繁に使う鉄のフライパンは、手前のスパイスラックからも、出し入れができます。ワゴンを動かさずに出し入れができるので、非常に便利です。しっかりと木で組んだ造りなので、座ることもでき、踏み台としても使えます。キャスター付きなので、使いたいときに、上に持ち上げながら引き出すだけで移動できます。ワゴンの手すりは、手になじむ太さです。自分の身長や手の大きさを元に作ったので、とても使いやすく、満足しています。
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