リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
キッチンとダイニングテーブルが暮らしの中心。オープンキッチンは、クローズドキッチンや壁付のキッチンより、家具に近い存在です。白いシンクを取り付けたキッチンカウンターと、揃いのダイニングテーブル。一枚板で造ると、空間がおしゃれにまとまります。
上の写真は、一枚板のゼブラウッドを使ったキッチンカウンターとダイニングテーブルです。ゼブラウッドは、縞模様の木目が特徴です。コの字型のシンプルな形は、個性的な木目が、引き立ちます。天板から脚にかけて、きれいに揃った木目は、とても長い一枚の板を使っており、柄を模したプリント合板にはない、微妙に揺らいだ縞の模様は、人工的には造れない自然の美しさを感じます。
無垢材ならではの特徴に「耳」があります。樹形を残すように手作業で削られた天板の縁。耳付材と呼びます。緩やかに曲線を描く表情は、味わいがあります。テーブルなら、ちょうど座ったときに、目にするところに耳があります。家族も、お客様にも、木の表情を感じてもらえます。写真のゼブラウッドは、耳の部分が外側へ行くに従い、上方向に厚みが薄くなるよう木裏を上に仕上げています。木裏使いは、かなり厚みのある天板でも野暮ったくなく、すっきりと見える効果があります。
耳付材は、天板の厚みを重厚に見せたり、すっきり見せることができ、お好みで仕上げられます。一枚、一枚、異なる表情を持っている一枚板。耳付材は選ぶ楽しさが広がります。
オープンキッチンも魅力だけど、何といっても一生モノの一枚板のダイニングテーブルに憧れる。そう考える方も少なくないと思います。
下の写真は、一枚板のウォールナットを使ったダイニングテーブルです。しっとりとした自然な光沢があり、濃厚な色が人気です。部屋のまんなかにどんと置かれたダイニングテーブルは、おしゃれで落ち着いた雰囲気を創ります。シンプルなデザインの耳付材を使った天板。一枚板の厚みや、丸みのある耳の表情が楽しめる木表使いです。
天板は、ところどころに見える、シルバー色がおしゃれです。 シルバーの部分は、割れてできた隙間。割れ部分をこのように仕上げることは、あまり見かけません。通常は、木片や、木粉を使い、接着します。隙間を埋めて、目立たなくします。
写真のウォールナットのテーブルは、割れの隙間に錫(すず)を埋めてデザインしています。渋く光るシルバー色が、おしゃれです。錫(すず)は、食器などにも使われる、安全な素材です。熱に強く、耐久性もあります。
さり気なくデザインされた一枚板のテーブル。存在感があります。このように、手を加えて、無垢材らしいデザインにすることもできます。
小さな生節は、手を加えずにそのままの表情を楽しめます。死節は、割れと同様に木粉と接着剤などで埋めて、目立たなくするのが一般的です。
裏側まで穴が開いている場合は、手を加えてそのままの姿を楽しむこともできます。
下の写真は、穴が開いている栓の木のテーブルです。穴はそのままの表情ですが、透明なアクリルで穴をふさいでいます。水族館の水槽に使われるアクリルで、透明度が高く、耐久性があります。テーブルの下から照明を灯すと、穴から灯りがもれ、幻想的な空間が楽しめます。記念日や特別な日にキャンドルを灯すように演出したくなる、おしゃれなテーブルです。
一枚板と言うと高価なイメージがありますが、価格は基本的に長さ、巾、厚みで決まります。巾広い木は、樹齢数百年の木もあります。数が少なく、希少です。長さ5mとなると、これも希少。希少材は、入手困難で高価です。逆に、巾が20㎝くらいの一枚板は、種類も数も豊富です。キッチンとダイニングの見切り板のような、奥行が必要ないカウンター天板は、手頃な一枚板がたくさんあり、無垢材を扱っているお店で、あれこれ選ぶことができます。
ショールームでもなかなか見ることのない一枚板を使った事例をご紹介しましたが、いかがでしたか。一枚板には、長く使え、年月を経ても変わらぬ価値があります。キッチンやダイニングは、毎日使い、何年も何十年も共に過ごす空間。さりげなく一枚板を取り入れて、すてきな空間にしてみてください。
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作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
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