リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
樹種を選び、天板の厚みはどうするか、何枚接ぎにするか、デザインはどうするか。そして予算。一生モノの家具は、ひとつひとつを選びながら、自分に合ったお気に入りのテーブルを作ってみる、その工程も楽しみながら。
無垢の木のテーブルを注文するとき、慎重に選びたい天板の知識や、知っておきたいポイントをいくつかご紹介します。
テーブルは、ひとり分のスペースを横60㎝、奥行40㎝の広さを基準にします。4人掛けなら、巾120㎝、奥行80㎝ほどの広さがあれば、数枚の皿を並べて4人揃って食事ができます。できれば、部屋の広さや動線を妨げない範囲で、ゆとりのある広い天板がいいようです。イスに座る場合は、隣のイスとの間隔に、ゆとりも必要です。
テーブルの高さは、イスの座面の高さから27〜30㎝プラスしますが、実際に座って、試して決めましょう。
イスに座らず、床座の場合は、食事をするテーブルなら、35㎝から40㎝の高さで。実際に、食事をしたり、書き物をして、ちょうどいい高さを決めましょう。
木は、個性が強い色や木目でも、不思議と部屋にしっくりとなじみます。ですから、好みの色を優先して選べます。壁や床の色、他の家具との雰囲気もイメージしながら、気に入った木を見つけましょう。木の種類により、硬い木、軟らかい木など特長があります。大きく分けると、広葉樹は硬く、針葉樹は軟らかです。傷が付きにくいのは広葉樹、比較的軽くて運びやすいのは針葉樹です。
天板の厚みは、25㎜くらいから100㎜を超す厚いものまで、好みで選べます。無垢材は、巾が広くて厚みが薄いと反りやすく、巾が狭くて厚みが厚いと反りにくい性質があります。あまり薄い天板は、反るリスクが高くなります。薄い天板ほど、反り止めが必要です。
天然面付の天板にするか、しないかで、印象が大きく変わります。天然面付の天板は、自然な表情が楽しめます。 木表を上にするか、下にするかでもイメージが変わります。スッキリと軽やかな雰囲気にしたいときは、天板の厚みを薄くせずに、木裏を上に仕上げると、軽やかでシャープに仕上がります。天然面付きではなく、直線の四角いラインにしても縁周りをテーパーに仕上げると同じようにシャープな印象になります。
食卓テーブルの場合、80㎝前後の奥行が必要ですが、その巾が取れる木は、樹齢数百年の希少な木です。一般的には、3枚〜5枚の板を、巾方向に接いで80㎝の奥行に仕上げます。接ぎ合わせる際、木目が自然に見えるよう、まんなかの一枚を板目に、両側の2枚は、柾目に接ぎ合わせると、自然な木目に仕上がります。更に、同じ木(共木)を使うと、一枚板のようにきれいな天板に仕上がります。また、全く違う種類の木を巾接ぎしてツートンのデザインにしたり、(参考写真ウォールナットと胡桃のテーブル)2枚の板を接いで、接ぎ位置を、斜め接ぎにすると、自然味溢れる印象的なテーブルになります。(参考写真天然面付楢共木テーブル)
無垢材に、節や割れはつきものです。木材業界では、節のない無節を上等品として扱いますが、節は、木の枝が出る部分で、たくさんの枝葉を伸ばし、成長する木は、節があるのが自然です。ちょっと節がある方が、自然な感じで好まれます。節があっても強度は、変わりありませんし、通常は、節の状態により、手を加えて、長く使えるよう、仕上げます。無垢材は、割れがあることもあります。割れたところは、隙間に木をはさみ、木の粉に糊を混ぜて、埋めるのが一般的です。割れたままに仕上げる場合や、割れ止めのチギリだけを施すこともあります。割れたままの仕上げは、自然の表情を楽しみたい方にはオススメです。少し凝った方法では、割れ部分に錫(すず)を流し込み、割れ止めのチギリを施します。自然にできた割れの形に沿って、鈍く光る銀色と木の質感は、存在感があり、モダンなデザインになります。
節穴や大きな隙間が開いている天板は、透明のアクリルを流し込む方法があります。アクリルの中に、金粉を散りばめたり、海で拾った貝殻を閉じ込めることもできるので、遊び心あるテーブルができ上がります。
このように、ちょっとしたアイデアで、自然の表情をもっと味わいある仕上がりにすることができます。
オーダーメイドで作る無垢の木のテーブルは、色や表情がひとつひとつ違うので、全く違った印象に仕上げることができます。天然面付きの天板にするか、真っすぐに仕上げるかだけでもイメージが変わりますし、木表を使うか木裏にするかで、違った印象のテーブルになります。木を選ぶことからはじまるオーダーメイドテーブルは、モノを買うというよりも、作り出す感覚が楽しめます。自分の目で確かめて、触れて、五感をフルに使って、木を選び、自分仕様の工夫を凝らすことができます。どこにもない、あなただけの木のテーブルができ上がります。
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作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
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