リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
ほんものの木を使った家具は、贅沢な品と思いますが、私は少し高価であっても素材にはこだわりたいなぁと思っています。毎日使うテーブルや椅子、毎日目にするリビングルームのソファなどは体に接する家具ですし、見た目の良さはもちろん、触れた時の感触も大切にしたいもの。自分が気に入った家具を使っていると家に帰った時、安堵しますし、明日も頑張ろうと思わせてくれることもあります。良い家具を使うことにより、家が更に良くなっていく気がします。
ブラックウォールナットのソファを購入したのも高価であっても良いものを、という気持ちからでした。いろいろなデザインや素材がある中、ショールームで座り心地を確かめてから選んだブラックウォールナットのソファ。家にソファが届いた日のことは今でもよく覚えています。それまで使っていた布製のソファを処分して、ブラックウォールナットのソファが置かれたリビングルームは部屋のイメージが急に高級な雰囲気に変わりました。ブラックウォールナットの深みのある濃い色やしっとりとした独特の艶は、部屋の印象を変えます。良いものと一緒に暮らすと本当のリラックスタイムをもたらしてくれる。そう思うようになりました。
ブラックウォールナットの主な産地はアメリカ東部です。別名ウォールナット、アメリカンウォールナットと呼ばれているクルミ科の広葉樹です。ウォールナットの特徴は割れにくい上に程よい硬さがあって非常に加工しやすい優れた材質です。塗装をしなくても表面がウォールナット特有の艶のある美しい濃い褐色がでるので、見た目も魅力的な木です。この独特な深みのある色合いが、家具・楽器・彫刻など装飾性の高い多様な用途を生んでいます。世界三大銘木としてチーク、マホガニーに並び人気のある樹種です。
ブラックウォールナットの色は辺材はクリーム色で心材は茶褐色のほか、時に黒紫色や赤紫色などが見られることも。 辺材から心材にかけての様々な色がグラデーションを描き、時にはマーブル模様のような美しい模様を形成します。同じ木目、色はふたつとないブラックウォールナット。木目も色も個体差があり、濃い色もあれば薄い色もあり、それが魅力でもあります。
日本にもブラックウォールナットと同じクルミ科の木があります。一般的に胡桃と呼ばれている木で、別名は鬼胡桃です。胡桃は、家具や木工小物・フローリングなどに使われています。日本のクルミは国産広葉樹の中では濃い色の木ですが、アメリカ産のブラックウォールナットと比べると明るい色をしています。胡桃もブラックウォールナット同様、色や木目は個体差があります。国産の胡桃もブラックウォールナットのようなとても濃い色の材も稀にあります。山形県の製材所で見た胡桃材はとても濃い褐色でブラックウォールナットにそっくりでした。
ブラックウォールナットは色艶が美しく高級な感じがしますが、ビンテージ風のインテリアにもよく合います。木の色は年月を経て少しづつ変化して部屋に馴染んできます。無垢材は経年変化で色が濃くなりますが、ウォールナットの場合、明るい色に変わります。特に日光や照明が当たる部分は色が変わりやすいようです。
15年経った我が家のソファも日が当たる部分はチークのようなオレンジ色に近い明るい色に変化してきました。
上質な無垢材の家具は、メンテナンスをすれば100年でも使い続けられます。親から子へ、孫へと受け継いでいくことができるのです。私もこのソファは、子供に譲る時には裏に日付を書いて、代々譲り継いでいけたらと思っています。
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