リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
今年の冬は足元が異常に寒い。靴下を履いても我慢できるものではなく、凍るように冷たい。これはもう無理!と我慢の限界を感じたある日、ホームセンターで見つけたほかほかモコモコの室内ブーツを購入し、厚手の靴下の上にモコモコブーツを履いて、なんとか耐えて暮らしているのだが、去年まで感じなかったこの〈寒さ…〉。
一気に家が傷み、すきま風が入ってくるようになったのか? それともマンションの断熱材が剥がれ落ちたのか? はたまた下の階の人が引越したのか?
いろいろと可能性を考えてみるが、マンションの断熱材が剥がれる確率は低く、下には間違いなく人が住んでいる。となると考えられるのは、自分の体の問題? そういう結論に達した。
そうだ、きっとこれも「老化」の一つなのだ。認めたくないけれど認めざるをえない、我が身との葛藤がスタートした。
我が家のお兄ちゃんワンコは今年13歳になる立派なシニア犬。相変わらずかわいく元気に走り回っているが、よぉ~く顔を見てみると、茶色かった毛は白くなり、目の周りの毛も固くなったようにボソボソしてきた。さらに、なんと睫毛も白い毛になっている。人間のように、シワやシミはないようだが、十分に老化してきているのだ。
そういえば、去年くらいからお散歩コースの半分くらいまで来ると、突然〈回れ右!〉をして、ものすごいスピードで自宅に帰るべく逆方向に走り出すようになった。弟ワンコはまだまだ進みたいのに、まったくお構いなしで一目散に家に向かって走る走る。夏にも増して冬の切り返しの早さは驚くほどのスピードだ。
まだまだ若いつもりで、張りきって運動した翌日は腰痛で起きられない飼い主よりも、自分の体力を自分でわかっているお兄ちゃんワンコの方がずっと利口だなぁ。そんなことを考えながら感慨深い気持ちになってため息をつく、わたし…。
「これからもお互いに身体を労わりながら暮らしていこうね!」と、お兄ちゃんワンコに声をかけるが、彼はわたしを無視して、今日も大好物のお芋のおやつをひたすら食べている。聞き入れてくれなくても無視されてもいいのだ。一緒に歳を取るのもワンコとの生活の、これまた醍醐味なのだから。
作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
犬との暮らしを綴ったほのぼのコラム
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