リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
起きると鼻がムズムズしてくしゃみが何十発も出て、呼吸が苦しくなる。鼻水が止まらなくなり、寝られなくなる。気がつくと、こんな症状に悩む日が多くなっていた。
あまりにも辛い日が続いたので、いよいよ病院へいくことにした。肺や鼻のレントゲンと血液検査を受け、検査結果を待つこと2日。先生から告げられたのは「犬アレルギー」だった。アレルーレベルは最大に近い数値を示していた。
アレルギーは原因を取り去るのが改善へのセオリーだが、ワンコたちは大切な家族で排除することはできない。さて、どうしよう…。
羊のように毛を刈って抜け毛を減らす「スムースチワワ計画」、長そで長ズボン服に頭巾をかぶせて、できるだけ毛が出ている面積を減らす「セレブワンコ計画」。いろいろ考えてはみたものの、「毛を刈って生えてこなかったらどうしよう」「嫌いな服を着せ続けてストレスで病気になる
のでは」と、不安と悩みが生まれ、ワンコたちには何もできない。とはいえ、症状を抑えるためには何とかしなければと考えた結果、私が防げばよいのだと気づき、自宅にいるときはマスクをつけることにした。
〈人間よりもお犬様〉だと友達は冷めた笑いをするが、とりあえずマスクをしていると目も痒くならず、辛い連続くしゃみも出ない。寝ているときの滝のような鼻水も出なくなったので、目標は達成できているのだ。
考えてみるとお兄ちゃんワンコと2人で暮らしていた7年間には、軽いアレルギー症状が時にはあったが、こんな酷い症状は出ていなかった。たぶん、弟ワンコが増えた3年前から徐々に悪化してきたのだろう。毛ぶきのよい弟ワンコは、ぎりぎりロングコートチワワの毛並みのお兄ちゃんワンコとは比較できないくらい、抜け毛が多いからに違いない。
ペットとの生活には、一緒に暮らしてみて初めてわかることがたくさんある。楽しいこと、大変なこと、慰められること、面倒なこと、困ることや憎たらしく思うことだってある。
でも、アレルギーになったのはワンコのせいじゃないし、私の身体が弱かっただけなのだ。だから、マスクをダースでまとめて買うこと。これまたワンコライフの醍醐味なのである。
作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
犬との暮らしを綴ったほのぼのコラム
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