リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
ワンコを飼っている方なら必ず受けているだろう彼らの愛情表現「ペロペロ攻撃」。
正直、私はとても苦手なのです…。
苦手な理由は、ペロペロするのは決まって口であり、それは彼らが、いままで何を(どこを)舐めていたかには、まったく関係なく実行されるから。
どう考えても衛生的によくないし、全力で舐められたときなどは、慌ててティッシュを探すか洗面台に走ることに。
そもそも、なぜ口ばかりを狙って執拗に舐めるのか…。子犬のときに母犬の口元を舐めると、母犬が食べ物を吐き戻して与えることからの習性らしいが、私の口をいくら舐めてもそんな器用なことはできないんだということを、いい加減にわかってもらいたいものである。
我慢して、じっと耐えていると、彼らはますますエスカレートしてきて、舌を口の中に入れてきたりする。そうなると、それはもう耐えがたい苦痛でありコミュニケーションどころの騒ぎではないのだ。
私の口からは食べ物も、あの名物だったおじさんみたいに金魚も出ないのだってば…。
犬同士の場合は、順位の下の犬が上位の犬への服従の意味で舐めるという。
確かに我が家の弟ワンコも隙あらば、お兄ちゃんワンコの口元をペロッとしている。気分がのっているときなどは、追いかけていってはペロッ。フセをしてオヤツを待っているお兄ちゃんワンコに、ペロッ。
弟ワンコは楽しそうにペロペロ攻撃をしかける。でも、お兄ちゃんワンコの眉がピクピクしているのを、私は知っているのだ。
「ペロペロ攻撃」と同様に、我が家のワンコの愛情表現と思われる「お腹の上に乗る攻撃」がある。
ソファに横になると、「待ってました!」とばかりに2匹揃って全速力で走ってきて勢いよくお腹に飛び乗る。
2匹で合計6.4キロは、いくらふくよかな私だって重いのだ。
しかも、彼らはじっとしてなんかいないのである。お腹を掘る、お尻を顔に付ける、毛づくろいをする、そしてしまいには喧嘩を始める。
確かに、十分な広さとポヨポヨとした弾力が丁度いいのはわかるけれど、
「もしもし、君たち、ここは運動場ではありません…」。
私だって、きゅっと引き締まったお腹周りになりたいと思うし、努力したいのだ。
なのに、腹筋しようと横になると、すぐに2匹で飛んできてお腹の上で跳んだり跳ねたり、てんやわんやの大騒ぎをするから、腹筋なんてできる状況ではないのだ。
ワンコと暮らしてから、着実に大きくなっている私の身体は、ワンコとの生活環境により作られているのだと、今までもこれからもそういうことにしよう。
作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
犬との暮らしを綴ったほのぼのコラム
雑誌『プランドゥリフォーム』
バックナンバーの紹介・ご購入