リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
13歳といえば人間でいうところの80歳も過ぎようかというお年頃。いいかげん落ち着いてほしいと願うが、思うようにはいかないものだ。もちろんお兄ちゃんを見て育った弟ワンコもご多分に漏れず、負けずとさらに甲高い声で吠えながら一直線に、めざす大型犬へ向かっていく。今日まで、一度も噛まれずに、過ごしてこられたのは不幸中の幸いだったとしかいいようがない。
わたしにとってお兄ちゃんワンコとの生活が初めての〈ワンコ暮らし〉。
〝お手〞や〝おすわり〞をはじめ、教える楽しみはたくさんあったが、如何せん、まったくやり方がわからない。
そこで〝しつけの本〞や〝ワンコブログ〞などで自分なりに結構勉強をしたけれど、大型犬に吠えるのだけは直せないままに13年の月日が流れてしまった。今さらと思うところもあるが、「人間も死ぬまで勉強というではないか! 」を胸に、我が家のワンコたちにも〈吠えない〉しつけを行うことを決めた。
自宅にいる時に吠えるタイミングはふたつ。ひとつはインターホンが鳴った時の俗に言う〈ピンポン吠え〉そしてもうひとつは救急車が通る時の〈遠吠え〉。遠吠えは祖先であるオオカミの血が騒ぐのだろうから我慢することにして、〈ピンポン吠え〉から直すことにした。
今までは吠えるたびに「静かにしなさい! 」と叱っていたが、ここは〈しつけ〉。ピンポン↓ワンワン↓おすわり↓待て。おすわりの姿勢で待てたら、ごほうびを与えるということを繰り返すことにした。始めてみると意外にできそうな気配あり。
続ければ春までにはマスターできるかな〜なんて、喜んだのもつかの間。突如2匹はベランダの窓にダッシュし、外に向かって最大音量で吠え始めた。そして吠えながら、ちらちらと自慢気にわたしの顔を見る。
吠えている相手はカラス。去年の夏から毎朝ベランダに来るようになり、追い払っているわたしに加勢するべくワンコズもワンワン。カラスが飛び去った後は「よくやったね〜」と2 匹を褒めていたのだ。冬になってカラスもベランダには来なくなり、ひと安心していたのだが…。ワンコズは空を飛ぶカラスを見つけるたびに、大きな声でワンワンワン。「ぼくたちカラスを撃退したよ!えらいでしょっ! 早く褒めて! 」と言わんばかりのドヤ顔で。やれやれ…
作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
犬との暮らしを綴ったほのぼのコラム
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