リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
さて、運動の基本と聞かれて皆さんはなにが浮かびますが?
ウォーキング?ランニング?腹筋運動やスクワット?どれも大切な基本運動ですが、運動の一番の土台となる基本は「呼吸をする」事なのです。
「呼吸」という運動は自分で意識しなくても自然としているものです。からだの状態に合わせて速くなったり、ゆっくりと深い呼吸になったりします。
これは自律神経という意志とは関係ない生命を維持するための働きによるものですが、ご存知のように呼吸は自分の意思でコントロールすることもできます。また、気分が落ち込むとため息がでたり興奮すると荒くなったりと心の状態が反映されることもあります。
呼吸は自律神経にコントロールされると書きましたが、意思でコントロールもできるということは当然ながら筋肉や関節も使用します。つまり「運動」であるということです。
生まれたての赤ちゃんは大きな声で泣くことで呼吸に必要な筋肉をトレーニングしていきます。呼吸がしっかりできるようになりその後、首が座り、お座りや這うこと、立って歩くことを学習していきます。
発達過程の中で呼吸をしっかり行うことを訓練しているのです。
ですが、大人になった現代人はストレスが多く、運動不足。大声で泣くこともほとんどなく呼吸を行うための筋肉や関節もバランスを崩していることが多くなっています。生命を維持する呼吸が正常にできないということは、からだにしっかりと酸素を取り込めず、二酸化炭素の排出も甘くなり、脳のしっかりとした活動を抑制してしまいます。また、呼吸は体幹の安定にも関わるため、姿勢が崩れ全身の働きも狂ってしまいます。
これでは無意識の状態で心身ともにストレスを過剰に作りだしているようなものです。
そこで今回は運動と生命維持の基本である「しっかりとした呼吸」を取り戻し、心身ともにエネルギッシュなからだを甦らせていきましょう!
仰向けになり膝を立て腰が反らないようにしてからだをリラックスさせます。座って行う場合は姿勢を正し肩の力を抜いて目線をまっすぐにします。できれば仰向けで練習する方が呼吸筋や背骨と肋骨の関節を上手に使うことができます。
基本ポジションでゆっくりと呼吸を行います。無理に吸ったり吐いたりせず、力を抜いた状態で胸とお腹の膨らみと縮みを自然に感じます。時間とともに少しずつ呼吸がゆっくりと深くなるのが感じられると思いますが、浅いままでも結構ですので力を抜いて行います。最低でも3分を目安に行いましょう。
この呼吸は生理的に女性が行いやすい呼吸です。腹圧がかかりにくく肋骨や胸椎の運動性が上がります。からだを活性化する神経(交感神経)を刺激するので気分もスッキリしやすいです。現代人は背中の動きが悪くこの呼吸運動に抑制がかかっていることが多く見受けられます。
基本ポジションでリラックスします。
吸うときに胸を拡げお腹はリラックス。吐くときは胸の弾力で自然に吐いていきます。この呼吸も力みや身体のコントロールはせず、胸と背中の弾力で自然に任せ行っていきましょう。目安は最低3分です。
胸式呼吸とは反対に生理的には男性が行いやすい呼吸です。からだがリラックスする神経(副交感神経)を優位にするので、落ち着きを取り戻しやすくします。お腹を使い呼吸をしますが、決して腹筋を固めたり力を入れないようにしていきましょう(呼吸するのに腹筋の緊張は必要ありません)
基本ポジションでリラックスします。
吸うときにお腹を拡げお腹全体が膨らむようにします。この時お腹の後ろ側(腰背部)も拡がるように意識します。吐くときはお腹が優しくへこむように。無理に吐き切らず自然に任せます。とにかくお腹を緊張させないように行うのがポイントです。目安は3分で行います。
最近の健康法では腹式呼吸がよく紹介されているのでご存知の方も多いと思いますが、呼吸で一番大切なことは自然呼吸が円滑に行われることです。腹式も胸式もひとつのトレーニング・エクササイズ法なのでどちらも偏らず訓練することが呼吸筋を促進します。柔らかく胴体全体が滑らかに呼吸していけるよう練習してみてください。夜の就寝前や朝目覚めてベッドから出る前に毎日行うと、きっとからだの変化を感じられると思います。
「生きることは息をすること」ともいわれます。生命維持の根元である呼吸をトレーニングし、日常や運動、そしてお家のリフォームへの活力を養ってみてくださいね。
作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
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