リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
前回までは座り方や歩き方の基礎をお話しいたしました。今回は、動きや姿勢の説明というより、ちょっとした「コツ」をお話しいたします。これを読みながらでもすぐに実行できますので、ぜひ試してみてくださいね!
「そんなことだけ?」と思われるかもしれませんが、実はこの「コツ」はとても大切な身体の使い方なのです。
「お尻の穴」は皆さんご存知の通り、胴体の一番底辺に存在しています。お家でいうと「床」ですね。お尻の穴やその周辺というのは「骨盤底筋群」と呼ばれ(写真参照)、細かな筋肉たちが組み合わさってできています。胴体の底面は、言わばトランポリンみたいな床面なんですね。この床が、身体の中の10数㎏もある内臓などを支えています。だから、床が不安定だと中の臓器も不安定な状態にさらされます。
不安定な状態は内臓の働きにも悪そうですよね。
さらに、この「骨盤底筋群」は他の筋肉とも仲がよいため、上は背骨を支える「腸腰筋」「横隔膜筋」というインナーマッスル、下は「内転筋」という内腿の筋肉と釣り合いながら活動し、身体の姿勢やバランスを取るのにとても大切な役割を担っています。
この部分をしっかり締めることで、身体全体の連動や固定性がアップします。
上半身、下半身のどちらを動かすにせよ、中心となる筋肉群に影響を与えるため、しっかりとした「固定力」を発揮することで効率をグッと上げることができるのです。
自律神経の安定にも、骨盤の「仙骨」という骨を介して関連しているといわれているため、自律神経の調整など、さまざまな効果がもたらされます。
余談ですが、私は前職で救急医療の仕事についていました。アメリカの外傷処置プログラムのセミナーを受けた際、重症患者の観察のときには「肛門」の閉まり具合も観察するという話を聞き、驚きました。
いわゆる、生死の判断の基準の一つに骨盤底筋群の緊張度が用いられているということです。
これを読まれている皆さんはもちろん、生きていらっしゃるのですから、生命を活性化し筋力をバランスよく使い、神経を安定化させるために「お尻の穴を締める」ことをオススメします。
「お尻の穴」自体は大きな筋力を持っているわけではないので、「力む」というより、まさに「コツ」というイメージで行うのがしっくりきます。日常の何気ない動作をしているときはもちろん、ウォーキングやジョギングなど運動をするとき、何となく「だるいなー」と思うときなども、誰にもばれずに行えるお手軽なエクササイズです。習慣になってしまえば面倒なことも一切ありません。
この秋は気持ちもお尻も引き締めて、ぜひ爽快に過ごしてみましょう!
作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
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