リフォーム・リノベーション専門雑誌「プランドゥリフォーム」に掲載中のコラムのウェブ版です。
少子高齢化が進む現代日本、生涯寝たきりにならず、健康寿命を延ばし健やかな毎日を送るため、国を挙げて筋肉を増やす「貯筋」活動が推進されています。
今回の身体のリフォーム術では「貯筋」にフォーカスし、そのメリットをお伝えしたいと思います。
ひとは30代を過ぎると年間1%の筋肉量が減少していくといわれています。60代に入ると30歳の時から30%も低下しているという事です。また、1日寝たきり生活をすると0.5%の筋肉量の減少があり、2日寝たきりでいると一年分の筋肉が落ちるとされています。これは通常の加齢変化の1年分にもなります。
ですが、筋肉は適切な刺激と栄養を与えることにより、年齢に関係なく発達することも分かっています。これだけでも、なるべく早いうちから貯筋生活に取り組むことの重要性を感じられると思いますが、貯筋のメリットはこれだけではありません。ここからはより詳しく貯筋の恩恵を見ていきましょう。
筋力トレーニングをすると成長ホルモンやアドレナリンなど脂肪を燃焼し身体を活性化するホルモンが多く分泌されます。きつめのトレーニングは身体を活性化し頭をスッキリさせてくれるのです。また、身体を動かすのが楽になるために日常生活のアクティブ感が増強されます。
筋トレを週に1回以上行っている場合、そうでない場合と比べがんによる死亡率が33%減少し、また、週に2~3回のトレーニングを継続的に行っている場合、全ての病期による死亡率が23%減少することが疫学的な調査で判明しています。筋肉量を維持・向上するだけではなく、血圧や血糖値の改善にもつながることがその一因だといわれています。
筋トレを行うと、深い睡眠であるノンレム睡眠の時間が増えることが研究で分かっています。睡眠時間が同じでも深い睡眠の時間が増えることは心身の回復を高めてくれます。
生活の中に筋トレを取り入れることは忙しい現代人には中々大変かもしれません。ですが、1日15分トレーニングの時間をつくると、それをマネージメントする時間設定を行い生活にメリハリを作りやすくなります。また、前述したように活動的にもなるので、規則正しい生活リズムが身に付きやすくなります。
普段の姿勢は心身の無意識の癖が反映しています。全身の筋力をトレーニングするのは自分でも気づかない弱った部分を自覚することにもつながり、さらにその部分を活性化することで、姿勢や歩行のバランスなどに好影響を与えてくれます。
筋トレを行いホルモンバランスが変わることでセロトニンという不安を解消するホルモンが発現されます。過去の研究報告で筋トレは健常者の不安を改善し、不安障害の患者の不安軽減にもつながることが示されたとのことです。継続的なトレーニングはメンタルヘルスへの効果も立証されたのです。
このように貯筋生活は将来の健康不安を軽減するだけではなく、現在の生活の質も向上させてくれます。冬はただでさえ鬱々としやすいシーズンです。おうちのリフォームとともに身体のリフォームも一緒に行い貯筋生活を始めてみてください!
作家・エッセイストの千石涼太郎さんのエッセイ
救急救命士で救急医療に従事したのち、カイロプラクティックを学び、開院した経緯をもつ院長が綴る健康コラム
犬との暮らしを綴ったほのぼのコラム
雑誌『プランドゥリフォーム』
バックナンバーの紹介・ご購入